|
〜正月の都内某レストランにて
FISHER KING(以下FK):本番まで1週間を切りましたね。
伊藤さやか(以下伊藤):そうなんです〜。やり残したことがあるんじゃないかってとても不安です〜。でもやることはやった、ってかんじです。
ミュージカル「Spicy Spies」について・・・
FK:早速ですが今回の「Spicy Spies」の完成まで秘話とかありますか?
伊藤:実を言うと脚本を17回書き直しました・・・。
FK:あぁ、書き直したねー。多分、関係者全員に脚本が手に渡るまでもかなり書き直しただろうけど、みんなの手に渡ってからもかなり修正したもんねー。正直言って僕はかなりプリントアウトをしなおしたよ。
伊藤:ああー!ごめんなさいー!(本当に申し訳なさそうに頭をぺこぺこ下げる)
FK:どういう理由で書き直しをすることが多くなったのかな?
伊藤:何しろ今回は登場人物が20人なんですよ。その20人が小さな舞台で恋愛したり対決したりしちゃうんですから、も〜大変です。
おまけに謎解きの要素まで詰め込んじゃったので、とにかく、話を分かりやすくするのに苦労しました。
FK:登場人物が20人もいたんだ。数えていなかった・・・。だけど第一稿に比べたら、かなり噛み砕いた本になりましたね。
ところでどんな状況で本を書いていますか?例えば喫茶店だったりとか、音楽をかけながらとか・・・。
伊藤:80パーセントは通勤電車の中で書いています。
宇都宮線のハンパでない揺れが、脳波を刺激してくれるのか、家にいる時よりもスラスラ書けます。
だけど、ついつい書いている台詞の感情に合わせて顔が動いてしまうので、隣に座った方達に怖い思いをさせているかもしれません。FKさんはどんなところで曲を書いているのですか?
FK:僕?僕はねえ、必ず家のピアノかキーボードの前で曲を書きますね。どんな曲を書こうかな〜っていうイメージは通勤時間だったりするけど実際に「書くぞ!」て決める時は必ず家ですね。その方が集中できるっていうか、誰にも邪魔されないっていうか・・・。まあ少なくともトイレとか風呂場とかでは考えないなあ。
伊藤:そうなんですか(笑)
FKさんは1曲書き上げるのにどれ位かかるのですか?
FK:1時間程度で書き上がるときもあるし、1ヶ月以上かかる時もありますね。今回の作品では初めの一曲が書き上がるまでかなり時間がかかりましたね。1ヶ月位かかったと思う。僕にしては珍しく作曲のスピードが遅かったと思うけど、正直言って今回の作品のイメージはかなり早い段階で固まっていたけど実際に音楽を作って譜面に起こすまでは本当に時間がかかりました。
今回の作品でどのような音楽をイメージしましたか?
伊藤:正直に言うと、脚本を書き終わった時点では、全くイメージが無かったんですよねえ。ただ一言、「脚本はB級ですが、曲はハイセンスでお願いします」と言った気がします。そうでしたよね、FKさん?
FK:言ってました。僕はそれを聞いたとき「どうしろっちゅーねん!」って思ったような気がする・・・。だけどもう少しイメージは知りたかったかな?だから結構イメージとかテンポとかを後々になって、聞いていましたね。
伊藤:「これはパパ―ッとした感じで!」「ボロいバーでかかってそうな曲を」「桃色なんですが、ノリはよく」としか伝えていなかったのに、ほぼ全曲一発OKでしたからね。私は作曲家の理解力に、ひたすら感謝しました。
FK:そういえば今回はそんなにダメ出しはなかったね。まあ書き直していられるほどの時間のゆとりがなかったというのもあったけどね・・・
伊藤:そんなことないですよ。本当に感謝です。今回の作曲で、一番注意したことって何ですか?
FK:今回に限らず、ミュージカルの曲を書くときは必ず本のストーリーにリンクすることを常に注意していますね。だから出来る限り本は読み込むように努めています。やはり物語の進行にリンクしていない音楽はやはり変ですからね。その次に自分がこだわりとしていることを主張する事とお客様が何を期待しているかを気をつけることですかね。
伊藤さんは今回の曲の中で一番すきなのは、どの曲ですか?
伊藤:・・・難しい。(手を顎に当てながら) 一番、ってことは、一曲だけしか選べないんですよね?!
FK:そうですよ。一番ですからねえ。(笑)
伊藤:うーん。やっぱり、「a rose is just a rose」かなあ。
こんな歌を歌ってサマになる女になりたいものです。
FK:大分先になりそうだね・・・。(苦笑)
伊藤:ええぇー!!そんなー!!!
伊藤:今回作った中で、最も苦労した曲は何ですか?
FK:オープニングです。
本当はああいう曲になる予定ではなかったのです。もっとエンタテイメントを意識するつもりだったのですが、どこでああなったのか曲が一人歩きしてしまって、必要以上にシリアスになりました。
伊藤:話が変わりますけど、今回の脚本に出てくる登場人物の中で、一番自分に似ているのは誰だと思いますか?
FK:そうだねえ。一番似ているのはチェリーかな。ああいう小心的なところが似ていると思う。他の男性登場人物にも自分が似ている箇所が沢山あるけど、似てないと思うのはマスターだと思う。
伊藤:スクリューじゃないんですか??!!一時期、スクリューはFISHER KINGさんがモデルだという噂がたったくらいですし・・・・・ほら!カビが生えるほど古臭いキザぶりとか運動神経が全くな・・・・、あ、あああっ!!
ゴボゴボゴボゴボ・・・・(SE)
FK:・・・どうぞ続きを。
伊藤:うぅぅぅ〜。
そ、それじゃあ!今回の脚本にも女性がたくさん登場していますが、一番好みに近いのは誰ですか?
FK:ドンペです。ああいう我侭で世間知らずで自分勝手な甘えん坊は好きですね。しかも金持ちだし・・・。
伊藤:金持ちですか・・・。
FK:お金は大事よ。
FK:少し真面目な話ですが、あなたにとってミュージカルの音楽とは何ですか?
伊藤:ミュージカルをカレーに例えるならば、音楽はカレーのルーですね。少しのさじ加減で、カレーの味そのものを変えてしまうものです。 ちなみに具は役者、ご飯やナンは脚本、スプーンやお皿は舞台美術。 ルーは、具の中にしみ込み、具をひきたて、ご飯やナンにからみます。間違っても、手抜きは出来ませんね。
FK:おお!いい例えだなあ。
それじゃあ、最後の質問です。
今回の作品でお客様に何を感じて欲しいですか?
伊藤:楽しさを感じていただけたら嬉しいです。
前回は「愛」という至高のテーマを掲げて頑張ったのですが、今回は、団員総出で手間隙かけて「スパイごっこ」をしている感じです。
お客様にも、このスパイごっこに参加していただき、楽しんでいただけたら、とてもとても嬉しいですね。
FK:今日はどうもありがとうございました。
本番に向けてお体に気をつけて頑張ってくださいね。
伊藤:はい!
こちらこそありがとうございました。
|
|
|