正直な話をしましょう。「ミュージカルが好きです」と言うことを、私はしばしばためらいます。ミュージカルに時間と情熱を注いでいることを、今まで幾度となく馬鹿にされてきたので……舞台をあまり知らない人にも、尊敬していた舞台関係者にも。日本では、ミュージカルが「クサい芝居」の代名詞になっていますね。残念なことですが、事実です。ミュージカルを嫌がる人の理由はたいてい、
「だって突然歌ったり踊ったりするんだもん」
です。日常ではありえないから、嫌いなんだそうです。
でも、本当にそうですか?日常で突然、歌ったり踊ったりしませんか?自転車に乗りながら鼻歌を歌いませんか?音楽を聴きながら体を揺らしませんか?失恋した時、哀しいラブソングを心の中で歌いませんでしたか?ワールドカップの観戦に行って、皆で飛んだり跳ねたりウェーブしたりしませんでしたか?その延長線上に、ミュージカルがあるのです。俳優の心と体に嘘がなければ、いつどこで歌おうが踊ろうが、クサくないはず。ミュージカルは決して、ありえないものでも、日本人に合わないものでも、ないはずです。 |
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ZaNUKA脚本家
伊藤 さやか |
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